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オープンキャンパスの集客方法|参加者が増える5つの施策と、企画でやりがちな3つの間違い

村中 亮太(Edu Marketing Partners 代表)

「今年もオープンキャンパスの予約が伸びない」
「広告を出しているのに、参加者が増えない」
「ゲストを呼んで人は来たけれど、出願にはつながらなかった」

大学・専門学校の広報担当者さんから、こうした相談をよく受けます。僕自身、業界最大手の学校法人で専門学校の広報を担当し、オープンキャンパスの企画やDM制作のメイン担当をしていたので、その悩みは痛いほどわかります。

先に結論をお伝えします。オープンキャンパスの集客で一番効くのは、新しい高校生を呼び込むことではありません。すでに資料請求してくれた高校生に「行きたい」と思わせる案内を届けることです。

この記事では、拙著『学校広報の教科書』の内容をもとに、参加者を増やすための5つの施策と、企画でやりがちな3つの間違いをお伝えします。

この記事でわかること

  • オープンキャンパスに来てくれる高校生は「どこから」来るのか
  • DM・LINE・リッチメニュー・交通費サポート・進路ガイダンスの使い方
  • ゲスト・メニュー・学校説明会でやりがちな3つの間違い
  • 参加者数ではなく「率」で成果を見る方法

オープンキャンパスに来るのは「資料請求した高校生」

施策の話に入る前に、ひとつ前提をそろえさせてください。僕は学校広報の仕事を、次の4つのステップで考えています。頭文字をとって「ALOE(アロエ)」と呼んでいます。

学校広報の基本設計ALOE。リスティング広告・SNS広告・進学ポータル・進路ガイダンス・SEO・SNSから、資料請求(A)、LINE登録(L)、オープンキャンパス(O)、出願・受験(E)へと進む流れ
学校広報の基本設計「ALOE」(『学校広報の教科書』より)
  • A:資料請求して住所を入力してもらう(Address)
  • L:LINEに登録してもらう(LINE)
  • O:オープンキャンパスに来てもらう(Open Campus)
  • E:出願して入試を受けてもらう(Entry)

オープンキャンパスは、この3つ目の「O」にあたります。ここで大事なのは、まだ資料請求もしていない高校生が、いきなりオープンキャンパスに来ることはほとんどないということです。知らない学校に、交通費と半日を使って足を運ぶ高校生はいませんよね。

だから、WEB広告や進学媒体で「オープンキャンパス開催!」と打ち出しても、思ったほど予約は増えません。広告はまず資料請求(A)を取るために使い、オープンキャンパスの案内は、資料請求やLINE登録で手に入れた「住所」と「LINE」に向けて送る。これが基本の考え方です。

つまり、オープンキャンパス集客のポイントは「リストの最大活用」です。ここからは、そのリストをどう使うかをお話しします。

参加者を増やす5つの施策

① DMは「ポストに入っていたらワクワクするもの」にする

まずはDMです。オープンキャンパス集客の成否を一番分けるのがDMだと言っても過言ではありません。ですが、ほとんどの学校のDMは次の2パターンに収まってしまっています。

  • オープンキャンパスのタイトルとビジュアルを前面に出したもの
  • 「◯月のオープンキャンパス」と日程を並べた一覧形式のもの

はっきり言います。面白くないです。どこも似たようなテイストで、魅力を感じません。もともとその学校に強い興味があった高校生は来てくれるでしょう。ですが、「参加したい!」という気持ちを新たに高めることはできていないんです。

僕が広報担当者なら、たとえばこんなDMを作ります。

高校生が開けたくなるオープンキャンパス案内DMの例。左は「招待状が届きました」と書かれた封筒、右は正体を伏せたビッグゲストの来校を告知する黒と赤のチラシ
高校生が開けたくなるDMの例(学校名は架空のものです)

「え、なにこれ?」「何が届いたの?」と、思わず開けたくなりませんか?

DMは、実はかなり作り方の幅が広いツールです。A4の両面刷りにも、三つ折りのハガキにも、封筒に手紙を入れる形にも、A3の特大サイズにもできます。中身も、DMの中ですべて説明し切ることもできれば、あえて謎を残して特設ページに飛ばすことに特化させることもできます。

デザインを作るのはデザイナーですが、こうしたアイデアを考えるのは広報担当者の仕事です。「ポストに入っていたらワクワクするか?」という基準で、ぜひ頭をひねってみてください。

② LINEのメッセージにレパートリーを持たせる

次はLINEです。友だち登録してくれた高校生に、オープンキャンパスの案内を随時送りましょう。

ただ、これもDMと同じでありきたりになりがちです。「◯月のオープンキャンパスのお知らせ」「◯月▲日 スペシャルイベント開催!」といった、ストレートな告知ばかりになっていないでしょうか。

それも悪くはないのですが、レパートリーを増やしてください。たとえばプログラミングの体験授業なら、「90分で、ゼロからゲームを作ってみない?」と体験そのものに誘うこともできます。ゲストが来るなら、DMで使った画像を送ってタップを促すのもいいでしょう。

LINEの中ですべてを説明する必要はありません。詳しい説明はリンク先のページに任せて、メッセージでは「どうすれば高校生がワクワクして予約したくなるか」だけを考えてください。

③ リッチメニューをオープンキャンパス特化にする

LINEのトーク画面の下に表示される「リッチメニュー」も重要です。LINE公式アカウントの標準機能でも最大6つまで項目を置けるので、「資料請求」「入試案内」などをまんべんなく並べている学校も多いと思います。

ですがここは、思い切ってオープンキャンパスに特化させてしまいましょう。僕のおすすめは次の構成です。

オープンキャンパスに特化したリッチメニューの例。上段3枠ぶんを「オープンキャンパスを予約する」ボタンにし、下段に「質問はこちら」「過去のOCの様子(動画)」「学生スタッフ・参加者の声」を並べている
オープンキャンパスに特化したリッチメニューの例
  • 上段(3枠ぶん):オープンキャンパス予約
  • 左下:質問はこちら
  • 中央下:過去のオープンキャンパスの様子(YouTube動画)
  • 右下:オープンキャンパスの学生スタッフ紹介(または参加者の声)

上段で予約ボタンを大きく目立たせると、資料請求やLINE登録を済ませた高校生が「次はオープンキャンパスに行けばいいんだな」と自然に気づけます。下段には、当日の雰囲気や先輩の様子など、予約前の不安をなくす情報を並べます。

④ 交通費サポートで「今行く理由」をつくる

オープンキャンパスに行くべきだとわかっていても、遠方の高校生にとってはお金と時間がかかります。これが予約を遠ざける大きな原因です。そこでおすすめなのが「交通費サポートチケット」です。

住んでいるエリアに応じて、現金やQUOカードなどで交通費を補助する仕組みです。たとえば渋谷区の学校なら「23区内は500円、東京都内は1,000円、神奈川・千葉・埼玉は1,500円」のように段階をつけ、当日にチケットと引き換えで渡します。

LINEのフレックスメッセージで作る交通費サポートチケットの例。エリア別の補助額と有効期限、当日に受付でタップする「交通費サポートを使用する」ボタンがある
LINEで発行する交通費サポートチケットの例

ポイントは2つあります。ひとつは有効期限をつけること。ラーメン屋の「期間限定 替え玉無料クーポン」があると、その期間に行かなきゃと思いますよね。それと同じで、期限があると「この期間に参加しよう」という気持ちが生まれます。

もうひとつは、LINE登録を条件にして渡すことです。紙のチケットをばらまく学校もありますが、それはもったいない。予算には限りがあるので、本当に参加を考えている高校生に手厚く渡したほうが効果的です。LINEで電子チケットにすれば、紙を刷る必要もありません。

⑤ 進路ガイダンスの最後に「Why now」をつくる

DMとLINEに加えて、もうひとつ大きなチャンスがあるのが進路ガイダンスです。ガイダンスで学校の説明をして終わりにしていませんか? 説明が終わった時点で、次のステップであるオープンキャンパスの予約につなげることが大切です。

とはいえ、押し売りは絶対にNGです。高校生の印象が悪くなりますし、高校の先生に伝われば学校の評判にも響きます。かといって「オープンキャンパスの予約、今できるけどどう?」と聞くだけでは、ほとんどの高校生は「また考えます」と答えて、そのまま忘れてしまいます。

そこで使ってほしいのが、この一言です。

「今日予約してくれたら、交通費のサポートチケットをプレゼントできるよ」

進路ガイダンスでの予約の声かけ。NG例は「オープンキャンパスの予約、今できるけどどう?」と聞いて「また考えます」と後回しにされる。OK例は「今日予約してくれたら交通費のサポートチケットをプレゼントできるよ」と伝え、今申し込む理由ができる
「今申し込む理由」があるかどうかで、高校生の答えが変わる

こうして「今申し込む理由(Why now)」をつくってあげれば、押し売り感を出さずに予約を増やせます。その場で予約を取るのにハードルを感じるなら、まずはLINE登録をお願いし、予約の案内は後日LINEで送る形でも構いません。

オープンキャンパスの企画でやりがちな3つの間違い

ここからは、集めた高校生を迎えるオープンキャンパスそのものの話です。企画や運営のノウハウは、どの学校にもすでにたまっていると思います。ただ、良かれと思ってやったことが逆効果になっている場面をよく見かけるので、3つの間違いを取り上げます。

間違い① むやみにゲストを呼ぶ

オープンキャンパスの鉄板といえば、有名人のゲストです。ですが、これはあまり意味をなしていない可能性が高いです。ゲストが「集客パンダ」になるだけで、入学したい気持ちにはつながらないからです。

人気アーティストを呼んでライブをしてもらえば、来場者は確実に増えます。ですが大半は入学する気のない人ですし、ライブが楽しかったからといって「この学校に入ろう」とはなりません。普段の学校生活に、そのアーティストはいないのですから。

オープンキャンパスの目的は、人数を集めることではなく、その先の出願(E)につなげることです。ただし、次の2つの場合は例外です。

  • ゲストが卒業生の場合:在校生時代の話をしてもらうことで、学校への関心を高められます。
  • ゲストが学校の分野に関係する人の場合:音楽の専門学校ならミュージシャン、調理なら料理研究家など。それ目当てに来る高校生は、出願の可能性が高い層です。
呼ぶべきゲストの見極め方。卒業生と分野に関係する人は呼ぶ価値があり、分野と関係ない有名人は人は集まるが入学意欲にはつながらない

しかも関連分野のゲストなら、誰もが知る有名人である必要はありません。音楽系の学校を目指す高校生はインディーズバンドに詳しいことも多いので、報酬を抑えられるバンドでも十分に人を集められます。「万人にとっての有名人」ではなく「ターゲットにとっての有名人」で考えてください。

「ゲストがいないと人が集まらない」と感じるなら、まずは施設・先生・学生といった学校の中にある資源を使い切れているかを見直してみてください。ゲストはあくまで補強です。

間違い② メニューを増やしすぎる

熱意のある学校ほど、あれもこれもとメニューを用意してしまいます。学校説明会・入試説明会・学費説明会・個別相談会……と説明会だけで何種類もあったり、同じケーキ作りの体験でも作るケーキを何種類も選べたり。

ですが、人は選択肢が多すぎると迷い、「選ばない」という決断をしがちです。有名なのが、コロンビア大学の研究者が行った「ジャムの実験」です。スーパーの試食コーナーに24種類のジャムを並べた日と6種類だけの日を比べると、試食に立ち寄る人は24種類の日のほうが多かったのに、実際に買った人の割合は6種類の日のほうが約10倍も高かったそうです。

ジャムの実験。24種類を並べた日は試食に立ち寄った人が60%、買った人が3%。6種類だけの日は立ち寄った人が40%、買った人が30%

はっきり言います。メニューはそんなに必要ありません。参加者の層が重なりそうなメニューが2つあるなら、1つにまとめてください。そのほうが高校生は迷わず申し込めます。

間違い③ 学校説明会で一から全部話す

「説明会は学校の顔だ」と、超大作の説明会を作り込んでいる学校もあると思います。それ自体は悪くありません。問題は中身です。

ほとんどの説明会は「こういう学校で、こういう学科があり、こういうイベントがあります」という内容になっています。ですが、オープンキャンパスに来る高校生の大半はすでに資料請求をして、パンフレットを読んでいます。同じことを一から説明されたら「知ってるんだけどな」と退屈してしまいます。

説明会に入れるべきなのは、パンフレットに書いていないことです。参加者がある程度学校を知っている前提で組み立て、初めての人向けの説明は最低限にとどめましょう。

在校生スタッフを「学校の顔」にする

小さな大学や専門学校では、入学理由の上位に「オープンキャンパスの在校生スタッフの雰囲気がよかった」が必ず入ってきます。入学後に仲良くなるわけでもないのに、なぜでしょうか。

それは、高校生が在校生スタッフに自分の未来を重ねるからです。スタッフが暗かったり頼りなかったりすると、「この学校に入って大丈夫かな」「自分もこうなるのかな」と不安になります。逆に、先生が「クラスの仲がいいです」と言うより、在校生が同じことを言うほうがずっと信じてもらえます。

とはいえ、やる気のないスタッフに「ちゃんとやって」と言っても変わりません。簡単で効果があるのは、スタッフの仕事が将来にどう活きるかを伝えることです。

  • 「高校生と話す練習をしておくと、将来の接客で困らなくなるよ」
  • 「自分で考えて動いた経験は、就活で話せる強いエピソードになるよ」

それが難しければ「今日がんばったら、夜のラーメンは最高にうまいよ」でも構いません。人は頑張る理由があると、動きが格段に変わります。

成果は参加者数ではなく「率」で見る

最後に、成果の見方です。「今年は参加者が200人来た!」だけでは、良かったのか悪かったのか判断できません。大事なのは、各ステップの間で何%の人が次に進んだかという「率」です。

たとえば昨年度、資料請求が500件、LINE登録が300件、オープンキャンパス参加が120件、出願が45件だったとします。この場合、LINE登録からオープンキャンパスへの参加率は40%、オープンキャンパスから出願への率は37.5%です。

ALOEに数字を当てはめた例。資料請求500件、LINE登録300件、オープンキャンパス参加120件、出願45件。移行率はA→Lが60%、L→Oが40%、O→Eが37.5%
ALOEに数字を当てはめる(『学校広報の教科書』より)

今年の数字と比べて、LINE登録からの参加率が落ちているならDMやLINEの案内に、参加者からの出願率が落ちているなら当日の企画や説明会に課題がある、と打ち手が見えてきます。参加者数を追うだけでは、この判断はできません。

まとめ

オープンキャンパス集客のチェックリスト

  • 広告は資料請求を取るために使い、オープンキャンパスの案内は「住所」と「LINE」に送っている
  • DMは「ポストに入っていたらワクワクするか」で考えている
  • LINEのメッセージにレパートリーがあり、リッチメニューはオープンキャンパスに特化している
  • 交通費サポートをLINE登録と引き換えにし、有効期限をつけている
  • 進路ガイダンスの最後に「今申し込む理由」を伝えている
  • ゲストは卒業生か、分野に関係する人に絞っている
  • メニューを絞り、説明会ではパンフレットにないことを話している
  • 在校生スタッフに、仕事が将来にどう活きるかを伝えている
  • 参加者数ではなく、ステップごとの「率」で成果を見ている

オープンキャンパスの集客は、派手な広告や豪華なゲストで決まるものではありません。資料請求してくれた高校生に、どれだけ「行きたい」と思わせる案内を届けられるか。そして、来てくれた高校生に「この学校に入りたい」と思ってもらえるか。この2つに集中すれば、参加者も出願者も着実に増えていきます。

資料請求を増やす方法や、LINE登録を促す仕組み、出願につなげる方法まで含めた全体像は、『学校広報の教科書』で詳しく解説しています。自校のどこに課題があるかを一緒に整理したい方は、お問い合わせから面談をお申し込みください。

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